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  1. 熊本県議会 1988-06-01
    06月15日-03号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    昭和63年 6月 定例会┌──────────────────┐│  第 三 号(六月十五日)    │└──────────────────┘ 昭  和 六十三年  熊本県議会六月定例会会議録   第三号──────────────────────────昭和六十三年六月十五日(水曜日)   ――――――――――――――――――――   議事日程 第三号  昭和六十三年六月十五日(水曜日)午前十時開議 第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)   ――――――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第一 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)      ―――――――○―――――――出席議員(五十四名)                 大仁田 貞 夫 君                 高 野 誠 一 君                 水 野 秀 昭 君                 吉 本 賢 児 君                 村 上 寅 美 君                 草 村   照 君                 松 村   昭 君                 鬼 海 洋 一 君                 本 田 良 一 君                 久 保 立 明 君                 福 村 三 男 君                 前 田 貞 治 君                 池 田 貞 俊 君                 小早川 宗一郎 君                 岩 下 榮 一 君                 前 畑 淳 治 君                 野 田 将 晴 君                 荒 木 詔 之 君                 島 田 幸 弘 君                 中 島 絹 子 君                 中 島 隆 利 君                 島 津 勇 典 君                 大 西 靖 一 君                 倉 重   剛 君                 山 本   靖 君                 渡 辺 知 博 君                 西 岡 勝 成 君                 深 水 吉 彦 君                 阿曽田   清 君                 三 角 保 之 君                 山 本 秀 久 君                 永 田 健 三 君                 堀 内 常 人 君                 八 浪 知 行 君                 鏡   昭 二 君                 髙 田 昭二郎 君                 古 閑 一 夫 君                 大 森   豊 君                 馬 場 三 則 君                 古 閑 三 博 君                 平 川 和 人 君                 北 里 達之助 君                 金 子 康 男 君                 広 瀬 博 美 君                 柴 田 徳 義 君                 米 原 賢 士 君                 永 田 悦 雄 君                 小 材   学 君                 八 木 繁 尚 君                 幸 山 繁 信 君                 池 田 定 行 君                 小 谷 久爾夫 君                 今 井   洸 君                 酒 井 善 為 君欠席議員(一名)                 水 田 伸 三 君   ――――――――――――――――――――説明のため出席した者          知事     細 川 護 熙 君          副知事    山 内   新 君          出納長    伴   正 善 君          総務部長   佐 藤 達 三 君          企画開発部長 五 味 廣 文 君          福祉生活部長 小 澤   豪 君          衛生部長   星 子   亘 君          公害部長   佐 藤 幸 一 君          商工観光労働          部長     森   弘 昭 君          農政部長   松 村 敏 人 君          林務水産部長 藤 門 豊 明 君          土木部長   小 野 満 司 君          公営企業          管理者    道 越   温 君          教育委員会          委員長    安 永 蕗 子 君          教育長    田 嶋 喜 一 君          警察本部長  竹 内   隆 君          人事委員会          事務局長   成 松 史 郎 君          監査委員   黒 田 昭 夫 君   ――――――――――――――――――――事務局職員出席者          事務局長   大 山 清 勝          事務局次長  田 端 穂 積          議事課長   山 下 勝 朗          議事課長補佐 宮 崎 博 次      ―――――――○―――――――  午前十時三分開議 ○議長(米原賢士君) これより本日の会議を開きます。      ―――――――○――――――― △日程第一 一般質問 ○議長(米原賢士君) 日程に従いまして日程第一、一般質問を行います。発言の通告があっておりますので、これより順次質問を許します。 なお、質問時間は一人九十分以内の質疑応答でありますので、さよう御承知願います。 島田幸弘君。  〔島田幸弘君登壇〕(拍手) ◆(島田幸弘君) おはようございます。自由民主党・玉名郡選出の島田幸弘であります。昨日の代表質問におきまして、災害復旧を初め農協、漁協の問題など、当面する県政の最も重要な課題につきまして質疑応答が交わされてまいったわけでありますが、私は、目先を有明地域だけに絞りまして、この地域が抱えております七つの問題につきまして、知事以下関係部長の所見を伺ってまいりたいと思いますので、おつき合いのほどよろしくお願いを申し上げます。 まず第一は、昨年元日の新聞に報ぜられたアジアランド構想であります。 元日早々大々的なこのニュースに、私ども地元では驚きもし、また期待で大きく胸を膨らませてきました。この構想は、文化、技術、物流を三本の柱として、アジア諸国との多元的な交流を展開し、我が国における一大国際交流の拠点を形成しようとする実に壮大な構想で、県下政財界、産業・文化界の耳目をこの一点に集めるに十分なものでありました。 文化交流拠点には、世界的に文化的価値の高い敦煌・莫高窟の再現や、シルクロードシアター西遊記遊園地などが計画され、技術交流拠点には、アジア技術研究所アジア交流センター、また物的交流拠点には、生産加工基地アジアバザールなどが計画されておりました。さらに周辺にはアジアビレッジなどの補完施設も計画され、今後十年間で三百ヘクタールの用地に約一千八百億円の投資が予定されておったわけであります。 地元長洲町におきましては、マリーンリゾートエリア開発基本構想が策定され、金魚の里づくりなども推進されておりますが、事業のスケール、投資額において、およそその比でないアジアランド構想の実現は、有明地域の活性化のため何にもまさるカンフル剤となることは全く疑う余地のないところであります。ところが、最近、当初の構想が大幅に改められ、投資額も千八百億円から千四百億円に縮小されたと聞き及んでおりまして、その概要が先日の新聞に報道されておりました。 もともとこのアジアランド構想は、三井グループを中心とした民間主導のプロジェクトで、県が積極的にリードできる性格のものでないことはわかりますが、私が強く申し上げたいことは、こうした計画がいまだかつて一度も、地元行政との間に話し合いもなければ説明も行われていないということであります。三つの交流拠点が、荒尾市、長洲町、大牟田市に分散していること、多くの集客が予想されていることなどを考え合わせますと、当然交通網の整備は緊急に進める必要が出てまいりましょうし、そのほか、構想の早期実現を図るための基盤整備は、相当の期間と公共投資を伴ってくることを考えておかなくてはならないと思うわけであります。 特に、この地域の道路網の整備について、私は五十九年三月及び六十一年九月の二度にわたり詳しく土木部長とやりとりしてまいりましたが、残念ながらなかなか進まないのが現状であります。アジアランド構想の推進によっては、道路整備計画も大幅な修正を余儀なくされるかもしれません。構想が発表されてから今日まで既に一年半が経過しようとしておりますが、県は今後このアジアランド構想の実現についてどういうお考えをお持ちなのか、特に交通ネットワークなどの基盤整備についてはどう対処していくおつもりなのか、知事の所見をお尋ねしたいと思うのであります。  〔知事細川護熙君登壇〕 ◎知事(細川護熙君) アジアランド構想の実現についてのお尋ねでございましたが、三井グループにおきましては、昨年七月の一次構想策定後、文化交流拠点を初めとして、この構想の事業化に向けてより詳細な検討をしていただいているところでございます。 この一次構想につきましては、三井グループから、国、地元市町、県に対しまして昨年十月に概要説明があったところでございますが、今回、その後の検討を踏まえまして二次構想が取りまとめられたところでございます。三井グループから聞いておりますところでは、一部内容の変更がなされておりますものの、構想全体としての大きな変更はないということでございます。 なお、並行してアジアランド構想の推進母体を形成するために、九州経済界等三井グループとの折衝が行われてきておりますが、県としても関係市町におきましても、これに側面からの協力をしてまいっているところでございます。 また、交通ネットワーク等基盤整備につきましては、県としても当然重視しておりますわけで、現在国の意見も聞きながら基礎的な検討を行っているところでございますが、さらに今後構想の内容が詰められていく段階に応じまして、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。 一方、国におきましては、長洲町を含んだ地域を対象として、例えば昨年度におきましては、建設省の地方民活関連道路推進事業でありますとか、自治省の地域経済活性化緊急プロジェクト事業が実施されますなど、基盤整備についての配慮がなされておりますほか、先般の民活法の改正によりまして、国際交流研修施設も対象施設に追加されるなどの支援策が講じられております。 いずれにしても、アジアランド構想は、歴史的、文化的価値の高い敦煌・莫高窟の再現を図るなど、スケールの大きな構想でございますし、有明地域の活性化を図るためには大変有効な集客産業であるというふうに考えて取り組みをしているところでございます。県としては、これまでも三井グループを初め関係方面との折衝、国への支援策の要望等を行ってきているところでございますが、今後もなお一層構想の実現に向けて努力をしてまいりたいと思っております。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) ただいま知事から御答弁をいただきありがとうございました。正直に言って、知事はもう少し具体的な構想実現のシナリオを御存じになっておられるかと思いますが、しかし、この構想も現在計画設計の段階であろうと思いますので、これ以上は申しません。ただ、民間企業の場合では、資金も右から左へ、それも期間を要せず可能かもしれませんが、公共投資を行う地元行政の場合はそうは簡単にまいらないわけでございまして、基盤整備のための用地にしても地価暴騰のおそれなしとは言えません。施設はできたが道路が悪いでは、せっかくの構想もスタート時点において不評を買うことになりはしないかと憂慮するものでありまして、行政として適時適切な対応を特にお願いしておきたいと思います。 また、この構想の中で長洲町は技術交流拠点として計画されているようでありますが、その中心となる名石浜工業団地の活用について私見を申し述べさせていただくならば、まだまだ広大な県の工業用地が未利用のまま残されているこの用地に、アジアを中心とする国際文化交流センターのようなものを誘致したらどうかという考えを持っておるものであります。あちこちの古墳にも見られますように、城北地区は、古くから中国を初めアジア各国との交流の窓口であったという歴史を持っております。地理的にも有明海を中心に、福岡、佐賀、長崎、熊本四県の接点という条件にも恵まれておりまして、海外からの研修生や留学生が勉強しながら交流を深めていくには絶好の場所であろうと思うのであります。さらに、映像博物館や資料館または船舶、航空機などの交通博物館、研究施設を設置することによって、海外との交流に一層役立つ拠点として、文化の薫り高いランドリーが実現するばかりでなく、名石浜の有効活用という面からも、また、荒尾・長洲地域経済活性化対策という点からも、行政側の取り組みとしてぜひ検討していただきたいと要望するものであります。 続いて、長洲・荒尾地域に係るいわゆる特定不況地域振興対策について質問を進めてまいりたいと思います。 御承知のとおり、昭和六十年九月以降の急激な円高のあおりを食った日本経済は、その定着、そして貿易摩擦といった不利な条件下で、昨年度前半まで全般的に全くの不況下であったわけでありますが、政府及び地方自治体が一体となった内需振興策が功をなし、その一部にようやく好況感が定着しつつあるように見られますが、長洲・荒尾地域のように石炭、造船等に依存してきた地域においては、いまだに構造不況の暗い影が色濃く地域を覆っております。 長洲町にある日立造船においては、昭和六十年秋からの二度にわたる大幅な合理化、向島石油備蓄基地の着工見送り、長期休業制度の新設、売上高のうち造船比率を一〇%に落とすとした中期経営計画の作成といった流れの中で、六十二年度末にはリースバック方式により操業は従来どおり継続されることになったものの、赤字補てんのために有明工場の売却が行われたところであります。また、隣接する大牟田市においてはどうかというと、三井石炭鉱業所が六十二年度中に生産規模四百五十万トンから百万トン落として三百五十万トンに縮小、四百八十七名が応募した退職者募集四ツ山鉱閉鎖による二鉱体制への移行、さらに本年度中には生産規模を三百十五万トンヘ再度縮小、これに伴う余剰人員七百三十名について希望退職者を募集するといった大幅な合理化案が提示されたところであります。これら造船、石炭鉱業の衰退は、関連企業はもとより地元中小の企業を初め商店街へ波及し、地域経済に大きな影響をもたらしております。 ちなみに、私の出身地であります長洲町の町民税について見てみますと、最もその影響が大きいと思われる法人住民税が、昭和六十一年度から以降急激な下降線をたどり、昭和五十九年度は二億四百万円収納していたものが、以後一億二千五百万、一億一千万と激減、昭和六十二年度では一億円やっとという状況で、両三年の間に約五〇%まで落ち込んでいるのであります。電気税についても同じような状況が見られます。一方、商店街の所得についてみましても、昭和六十年度から下がり始め、以後いずれも対前年比九二%、八八%と下がり続けているのが現状であります。このような実態を県はどう受けとめておられるのか。そしてどんな対策を考えておられるのか。具体的な振興策、雇用対策について商工観光労働部長の所見をお伺いしたいと思います。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 県北経済を支えてまいりました造船業あるいは石炭産業等は、国際的なエネルギー需給の緩和でございますとか円高の進展、そしてその定着及び貿易摩擦等によりまして、申し上げるまでもなく大変厳しい状況にございます。 造船業の大幅な合理化、関連下請企業の不振等で経済雇用情勢が極度に悪化しております中、同地域が大きく依存しております石炭産業も、昨年に引き続き二年連続の生産体制の縮小、人員削減を内容とした合理化が実施されており、事態は一層深刻化し、極めて厳しい状況にございますことはただいまお話があったとおりでございます。県といたしましては、このような事態を深刻に受けとめ、地域経済の活性化を促進するために、これまで雇用対策特定不況地域対策等を講じてきたところでございますが、これらの施策を一層強化していく必要があろうかと考えております。 まず、雇用対策でございますが、昨年四月施行されました地域雇用開発等促進法に基づき設置いたしました県北部雇用開発会議及び関係公共職業安定所関係技能開発センター、関係市等をメンバーといたします石炭鉱業等離職者就職対策連絡会議等を通じまして、必要な施策を講じながらこの地域における離職者等の再就職の促進に取り組んでおるところでございます。今回の合理化等によりましてさらに離職者の発生が考えられますが、今後、これら企業や関係機関とも密接な連携をとりながら、ただいま述べました連絡会議等の一層の活用を図りますほか、雇用保険給付日数の延長、きめ細かな職業相談の実施、職業訓練制度の積極的な活用、地域雇用開発助成金制度特定求職者雇用開発助成金制度雇用保険による再就職手当等々の援助措置を効果的に活用しながら、再就職の促進に一層努力してまいりたいと考えております。 また、求人の確保についてでございますが、今月一日から発足いたしました総合的雇用情報システム全国ネットワークを活用いたしまして、隣接地域はもとよりでございますが、幅広い地域の情報を提供するなど雇用機会の増大を図ってまいりたいと考えております。 次に、特定不況地域対策についてでございますが、荒尾市及び長洲町につきましては、一昨年十一月に特定地域中小企業対策臨時措置法に基づく特定地域に指定されておるところでございまして、県でも国の施策と連携をとりながら、中小企業の新分野進出に対します支援や低利の特定地域中小企業対策資金融資等、経済環境の変化に敏速かつ適切に対応し得るよう施策を行っているところでございますが、今後もこれら施策の積極的展開を図るとともに、製造業だけにとどまらず各般にわたる企業誘致を積極的に進めるなどして、県北地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) 特定不況地域振興対策につきましては、もう少し何かぴりっとした答弁がいだだけるかと思いましたけれども、どうも得られませんでした。特に最近の企業も、技術革新によって海岸地帯への立地が敬遠されがちだということも伺っております。中小企業の新しい分野進出に対する支援や中小企業対策資金、融資制度の活用など、もっと積極的に幅広く振興対策概要の浸透に努められ、地域の振興に実のある対策を講じていただきたいと思います。 また、雇用の確保は最も急を要する問題であります。当面、雇用保険給付日数の延長、雇用開発助成金制度雇用保険による再就職手当など、手厚い援護措置が講じられていることは大変ありがたいことではありますが、一日も早く仕事につき、生活の安定を図りたいというのが偽らざる心境であります。このままの状態が続きますと、近い将来には、地域内における家庭生活、社会生活が崩壊する危険性が濃厚であります。どうかひとつ執行部におかれましては、我がことと思って真剣にこの問題に取り組んでいただきたいと思います。 続いて、有明工業用水を分水して上水道へ転用する問題についてお尋ねいたします。 この問題は、去る六十一年九月の定例会におきましても取り上げてまいりましたが、一向に明るい見通しが立っておりません。執行部も前向きに検討しておられるとは聞いておりますが、有明地域の振興を図る上から一日も早くこの問題を解決しなければならないという観点から、いま一度その現状と執行部の見解をお聞きしたいと思います。 御承知のとおり、有明工業用水道事業は、昭和五十年六月に、有明臨海工業地帯に立地する企業に対して、工業用水を供給する事業としてスタートしたものであります。一日当たりの給水能力は五万六百立方メートル、そして昭和五十四年四月にはその全量を完全に売水する計画であったわけでありますが、昭和五十六年以降の契約水量は一日当たり一万一千五百立方メートルにすぎず、全給水能力に対する比率にしてわずか二二・七%という状況で今日まで推移しているところであります。 このように、多量の売れ残り水を抱えるに至った原因については、有明臨海工業地帯の現況並びに昭和四十八年、五十四年と二度にわたるオイルショック後の我が国の産業構造の転換、技術革新の進展などを考え合わせますと、改めて多言を要しないところであります。 さらに、有明地域における今後の企業の動向あるいは企業の誘致等を考え合わせた場合、この五万六百立方メートルという工業用水が果たして全量必要なのかどうか、大きな疑問であります。さすれば、極めて大きな財政投資によって完成したこの事業を現状のまま放置していいのかというと、答えはノーとしか出てこないと思うのであります。一方、この有明地域におきましても、地下水の汚染あるいは塩水化、さらに水位の低下等が進む中で、荒尾市及び長洲町の上水道はすべてこの地下水に頼っております。またお隣の岱明町では、これから上水道事業施設の整備を始めようとする状況であります。 こうした背景がありまして、昭和五十八年に荒尾市、長洲町及び岱明町の一市二町から知事に対し、この残っている工業用水の中から一日四万三千立方メートルを飲料水へ分水してほしいという要望書が提出されております。今後、年とともに生活様式も高度化、多様化し、公共下水道の整備も進む中で、この一市二町にとって水資源を確保することは必要不可欠、最大の政治課題でもあるわけであります。したがいまして、私は、有明工業用水を上水道に転用する問題は、水資源の有効活用という面からはもちろん、一市二町の生活用水の確保、さらに、県にとっても工業用水道事業の経営改善にも直接影響する、まさに一石二鳥、三鳥の効果をもたらすものと思うわけであります。 もちろん、これを解決するためには、早急な県としての意思決定を初め、水利権の問題、竜門ダム建設との関連等、広範多岐にわたる難問があることから、かなりの時間を要することは十分理解しておりますけれども、一向に具体的な進展が見られないのは残念であります。県は、この問題に対してどう対処していくお考えなのか、改めて確認しておきたいと思います。さらに、ここ両三年の動きと現状についても具体的に公営企業管理者の答弁を求めるものであります。  〔公営企業管理者道越温君登壇〕 ◎公営企業管理者(道越温君) お答えいたします。 企業立地の動向等から勘案いたしまして、有明工業用水五万六百トン全量を工業用水として売水することは極めて困難ではないかという御指摘でございましたけれども、企業局といたしましてもそのように判断をいたしているところでございます。したがいまして、企業局といたしましては、工業用水としての売水努力を重ねる一方で、他用途への転用につきましても検討し、積極的に取り組むことといたしているところでございます。その際、地元の荒尾市、長洲町、岱明町から上水道用水への転用について要望があっておりますので、それを踏まえながら転用することが最も適切であるというふうに考えております。 そこで、この転用問題についての取り組みの状況でございますが、県としてこの問題と取り組むため、庁内に有明工業用水対策会議を設置し、以来今日まで関係課長から成る対策会議幹事会や関係市町との打合会等を開催するとともに、逐次関係課との協議や調整を実施しながら、転用に当たっての解決すべき問題点と対応策の検討、関係市町の上水道としての受水意思の確認等に努めてまいったところでございます。 まず、転用可能水量についてでございますが、将来における一市二町の生活用水として三万二千トン程度が必要であろうという目安を得たところでございますが、本来の目的である工業用水としての機能に支障を来すことのないよう、既給水企業の増水計画や企業誘致の可能性等を考慮しながらその量を確定してまいりたいと考えております。 次に、何といっても重要なことは、一市二町の上水道事業の事業主体等受け入れ態勢づくりでございますので、現在、その一市二町に対しましてその推進を図るよう検討をお願いしているところでございます。その後、これらの一市二町におきまして若干情勢の変化もあり、また、この転用問題は、現在はもちろん将来にわたる各市町の振興あるいは住民の福祉にかかわる重要な課題でもございますため、転用に伴う財政負担や転用の時期等を含めて、なお各市町間の調整を図りながら慎重に検討を重ねていただいているところでございます。 今後の対応についてでございますけれども、この一市二町における受け入れ態勢づくりが一応整った段階におきまして、県としての基本的な意思決定を経た上で、関係機関との正式な協議に入りたいというふうに考えております。 この転用の実現に当たりましては、ただいまも御指摘がございましたが、一つには、工業用水から上水道用水への水利権の変更を必要とすること、二つには、水源を建設中の竜門ダムによることといたしておりますが、これには筑後川上流から分水による補給をお願いしていること、この二つ等の状況にございますために、協議を要する関係機関も広範にわたり、解決を図るためにはかなりの期間と慎重な対応が必要と考えております。 いずれにいたしましても、有明工業用水を上水道へ転用することは、水資源の有効活用はもちろん有明地域の振興、また、有明工業用水道事業の経営健全化という観点から大変重要な課題と受けとめておりまして、地元の関係機関の協力を得ながら今後とも積極的に対処してまいる所存でございますので、なお一層の御指導、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) 有明工業用水の未売水を荒尾、長洲、岱明の一市二町の生活用水に分水してほしいと要望されてから既に相当の期間が経過しておりますが、いまだ明るい見通しが立たないことを残念に思います。水利権その他難しい複雑な問題が介在していることは十分承知しておりますが、お願いしていることは地域の生活用水であります。売買計画水量の範囲内で分水してほしいということであれば、事業経営の改善にも大きな利益をもたらすと思うので、ぜひひとつこの事業に取り組んでいただきたいと思うのであります。 次に、誘致企業の育成、すなわち立地後のフォローの問題について質問を続けてまいりたいと思います。 細川知事が県政を進める上での指針としておられる「熊本・明日へのシナリオ」の中で、活力に満ちた商工業拠点づくりの一つに魅力ある商店街づくりを掲げておられますが、最近の街路、商店街のファッション化など町づくりの施策については、それぞれ地域との相互協力によって着実に進展しているものと見受けられ、情報化や新しい技術化についてもその基盤づくりが順調に推移していると思います。さらに、生産面における一方の主軸ともいえる企業誘致につきましても大きな成果を上げられているようであります。昭和四十年度以降、県内に立地した誘致企業三百二十三社のうち百二十四社が細川知事になってから誘致されたもので、知事がこのことに大きなウエートを置いておられるあかしとして高く評価するものであります。これらの企業の県工業に対する比重を考えた場合でも、出荷額において約半分に達し、従業員数にして全体の三分の一を占めております。この事実は、今や誘致企業を除いては本県の工業は語れないということではなかろうかと存ずるところであります。 しかしながら、問題は、これらの進出企業のすべてが立地当初の計画どおりの業績を上げているかということであります。誘致に当たっては、用地の確保、租税の減免などいろんな恩典を付与して迎えはするが、立地してしまえば後のことは企業努力でどうぞといったような、進出後のことについて全く手をかそうとしない行政の無責任ともいえる姿勢がとられているのではないかと憂慮するものであります。 確かに、行政としてできる範囲というものもありましょうし、配慮が過ぎると既存の地場産業を圧迫するというひずみも生じてまいりましょう。しかし、誘致した企業が、本県経済を支え、雇用の場を大きく広げている現状を考え合わせるとき、誘致企業に対するフォローのあり方について行政姿勢を見直すべきときではなかろうかと思うのであります。 幸い、ここ五年間に誘致した企業の中には、閉鎖、撤退したものはありませんが、それ以前の誘致した企業では、三十三社が閉鎖し、十社は途中で進出をあきらめ、他県への進出を決めているところがあります。一昨年、県公用車として初めてホンダ車が購入され、知事御自身でも購入しておられると聞きますが、全庁的に見た場合、進出企業に対するその後の取り組みは残念ながらいまだ不十分の感を否めないのであります。 誘致した企業が、本県に根を張り、本県経済を支え、さらに雇用の場を広げることは、とりもなおさず、知事が言っておられる、七十年度には東京を除く四十六道府県並みの県民所得を確保するという目標に直接結びつくものと思うのでありますが、商工観光労働部長はこの問題をどうお考えになっておられるのか、お聞かせいただきたいと思うのであります。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) 誘致し進出しました企業の育成につきましてもっと積極的な取り組みが必要ではないかというお尋ねでございますが、進出企業は、御指摘のように、本県経済の中で大きなウエートを占めており、お話にもありましたように、工業出荷額で約半分、雇用者数で約三分の一程度を占めております。また、地場企業との関係におきましても、下請関連を通じまして、業域や雇用の拡大あるいは先端技術の移転等、地元への波及効果も大きいものがございます。したがって、進出企業の発展は、申すまでもなく、県経済全体の発展や県民所得を全国平均並みに引き上げることにもつながるものと考えております。 県におきましては、従来から県内を幾つかのブロックに分けまして、進出企業との間で各種の懇談会を開いて進出企業の抱えております問題や要望の把握に努め、その解決を図りますとともに、下請企業のあっせんであるとか、あるいは技術者を含めた労働力の確保等々につきましてもできるだけの取り組みを行ってきたところでございます。 御指摘のとおり、誘致企業の育成は、県勢浮揚の上で極めて重要な問題でありまして、今後とも全庁的な問題として取り組んでいきたいと考えております。また進出企業も立地した時点で当然のことですが県内企業となるわけでありまして、県といたしましても、県内企業育成の観点に立って、物品の発注等に際しましても進出企業を含めた県内企業の製品の利用拡大等今後とも進めてまいりたいと考えております。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) 答弁の中にありました誘致企業の位置づけについては、その趣旨を了としますけれども、フォローの施策についてはいま一つ具体性に欠けると思います。誘致企業が本県経済に与える影響は極めて大きなウエートを占めるばかりでなく、有明地域のような不況地域における雇用の確保については、企業の誘致と立地した企業の活発な活動に期待する以外に多くを望めないのが現状でありまして、執行部の格段の御努力をお願い申し上げておきます。 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。 御承知のとおり、今日の農業は、内にあっては米、ミカンを初めほとんどの農産物が過剰傾向で生産調整を余儀なくされ、価格は低迷、生産者米価においては昨年に続いて二年連続の引き下げ方針が早々と打ち出されております。また外にあっては、農産物輸入自由化攻勢で全世界から集中攻撃を受けるという大変な窮地に追い込まれている現状であります。 こうしたやさき、先月三日、四日の集中豪雨は、県の中央部を中心に県下各地に大きな被害をもたらすという追い打ちをかけてきました。最も大きかった農業関係の被害総額は締めて百六十六億円にも及んでおります。私の玉名地方におきましても、本格的な収穫期を迎えておりましたハウスメロン、トマト、スイカ、麦類で、収穫不能となったところや田畑の流失など、被害の状況はまさに惨たんたるものでありました。県では早速、その復旧に要する諸般の予算を専決処分され、その対応に取り組んでいただいておりますが、一日も早く生産者が立ち直れるよう、物心両面にわたる支援を強くお願いをしておきたいと思います。 さて、そこで、昭和六十一年度の熊本県農業動向年報を開いてみますと地域別の生産性動向が示されておりますが、同じ城北地域でも玉名地域の農家一戸当たりの生産農業所得は他の地域に比べて大きく下回り、県下でも優位にある農業生産地域だと思っておりましたのに県平均にも遠く及ばない現状であります。このことは、荒尾及び玉名地方の経済不況をさらに深刻にしている要因にもなっておるものと考えられるわけでありまして、せっかく恵まれた自然条件を生かし切れないでいるのではないかと思われてならないのであります。 そこで、きょうは、玉名地域の果樹と野菜園芸に絞ってその振興策をただしてまいりたいと思っておりますが、まずは野菜であります。 玉名地方におきましては、県下でもかなり早い時期から施設化に取り組んでおりまして、トマト、イチゴ、メロン、カボチャなどの導入が図られ、本県における先駆的な施設園芸の役割を果たしてまいりましたが、近年では、ほかの産地に追い上げられ、追い抜かれている現状であります。しかしながら、それでもなお玉名地方における農業生産額に対する野菜比率は一七・三%と高く、米、畜産、果樹に次ぐ重要な作物であると同時に、水田農業確立対策の転用作物として、また農家の安定所得拡大のためには、これからも大いに伸ばしていかなければならない作物であります。 こうした状況を背景として、この地域の野菜園芸を強化するに当たっては、生産組織の強化と技術の平準化、共販率の向上が特に必要ではなかろうかと思われます。さらに需給の動向に即した品目の導入等についても検討の余地があろうと思いますが、農政部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次は、果樹の問題であります。玉名地方の果樹は、天水、玉東町にまたがる金峰山ろく及び小岱山ろくにおけるミカンと、荒尾・長洲地区におけるナシ、そして玉名団地におけるブドウと桃、三加和、南関、菊水といった県境山間部のクリといったように、それぞれ地域性を生かした果樹栽培が行われ、産地を形づくっております。 しかしながら、今日の果樹情勢、とりわけミカン類は、昨年の温州ミカンの価格暴落に象徴されるように、まことに深刻な事態に直面し、大変苦しい経営状態となっております。加えて、オレンジ自由化に関する日米農産物交渉がいよいよ大詰めを迎えようとしている今日、国際化に備えた産地体制の整備が急務と考えます。すなわち、園内作業道など基盤整備を推進し、コスト低下を図ること。品質時代に呼応し、県育成品種の金峯など優良品種への更新を急ぐこと。そして、不適地や低生産園を他作物へ転換するとともに、経営の複合化を推進することが肝要であります。 このように、栽培農家における経営方針の転換というものは、果樹農業を維持していく上から避けて通れない重要な課題であろうと考えられるのであります。また、玉名地方の地域的な課題としてナシの問題があります。現在の主力品種であります新高は、味のよいジャンボナシとして市場でも高い評価を得ておりますが、気象災害を受けやすいという難点があります。さらに温州ミカンの現状から、このナシヘの転換も考えられるところでありますが、県においては今後このナシの振興についてどういうお考えを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。 農業問題の第三点として、新農業自立運動についてお尋ねしたいと思いますが、昨年十一月に新農業推進対策本部が設置され、活力ある高生産性農業の確立を目指した新農業自立運動がスタートしております。農村地域住民の自主性を尊重しながら、集落における多様な活動の展開によって、地域農業振興の意識の啓発と意欲の高揚を図る上でまことに適切な施策であり、その活発な活動に大きな期待を寄せているところでありますが、その活動方針並びに昭和六十三年度の事業計画と概要について農政部長の答弁をお聞きしたいと思います。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) お答えいたします。 玉名地域の野菜の振興につきましては、これまで地域特性を生かしながら産地化を進めてきたところでございますが、今後とも野菜の産地間競争は厳しい状況にございますことから、施設野菜を中心とした他産地に負けない高品質野菜生産対策を推進していきたいと考えております。 有望品目といたしましては、近年の消費者嗜好の多様化の中で、需要が伸びておりますイチゴ、ミニトマト、メロン等が考えられるわけでございますが、このような品目を重点的に伸ばしていきますためには、御指摘にもございましたけれども、生産組織としての農協専門部会における組織活動の強化が必要でございます。 また、技術の平準化につきましては、まず、基本技術の徹底によりまして全体の技術水準を高めていきますとともに、ウイルスフリー苗あるいは開花促進のための株冷技術等、ハイテク技術の導入によりまして高位平準化に努めたいと考えております。 さらに、共販率の向上につきましては、市場との意見交換や出荷協議会等によりまして共販意識を高めますとともに、予冷庫等集出荷施設の近代化を進めることによりまして、共販体制の強化を推進してまいりたいと考えております。 次に、ミカン対策でございますが、価格低迷で苦しい状況にございますミカン作は、経営転換を図りまして早急に改善していく必要がありますことは御指摘のとおりでございます。このため、県におきましては、温州ミカン園転換整備事業を推進いたしまして、優良園地への集約化を図ってまいりたいと考えております。また、今後のミカン園経営は、国際化に備えて、適地における優品多収と省力化による低コスト経営を目指す必要がございますので、生産者においてもコスト意識を持って経営を行うよう、指導を強化してまいりたいと思っております。 それから、玉名地域のナシでございますが、荒尾・長洲地域を中心といたしまして特色のある産地を形成してまいったわけでございますが、現在品種が新高を主体に栽培されておりますので、生産農家の経営の安定を図りますために、幸水など三水系統の導入によりまして、品種の多様化を推進してまいりたいと考えております。また、栽培技術の面でも高位平準化を図りまして、高品質のナシの生産を推進いたしますとともに、生産者組織と集出荷組織体制を整備いたしまして販売力を強化するよう指導しているところでございます。 それから、新農業自立運動についてのお尋ねでございますが、この運動は、お話にございましたように、農業の活性化を図りますため、生産者の方々の自助努力を基本にいたしまして、農業の精神的自立と経済的自立を促すことをねらいといたしまして、昨年十一月、県、市町村、農業団体等関係機関が一体となって提唱いたしまして推進をいたしているところでございます。 お尋ねの活動方針でございますが、この運動は、単なる農業運動としてではなくて、本県農政の施策理念としても推進することにいたしておりまして、具体的には、農家みずからが行う集落を単位としての実現可能な中長期的目標の設定、それからその目標達成のための実践活動に対しまして関係機関が連携して支援を行うことにいたしております。特に今年度は、県事務所及び市町村単位に地域に密着した運動が展開されるよう配慮してまいる考えでございます。 それから、六十三年度の事業計画の概要につきましては、これまで運動で取り組んでまいりました実績を踏まえまして、昨年に引き続き研究会やリーダー研修会を開催いたしますとともに、運動マニュアルの作成や広報活動等を通じまして、この運動が広く全集落に浸透するよう啓発啓蒙の徹底を図ることにいたしております。また、この運動の拠点となりますモデル集落につきましては、今年度も新たに百集落程度を指定いたしまして、アドバイザー派遣制度等を活用するなどいたしながら多面的な支援活動を行って新たな運動の展開を図ってまいりたいと考えております。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) 農業問題は口で言うほどその解決が簡単でないことはよくわかっておるわけですが、しかし、玉名地域の野菜及び果樹の振興策は、主産地だけに地域経済の活性化に直接連動しているものであります。したがいまして、ただいま御答弁いただきました対応策を早急かつ強力に推進していただきますようお願いを申し上げます。また、新農業自立運動はまことに時宜を得たものと思いますが、残念ながら末端に対する浸透がいま一つ足らないようであります。今後、市町村当局並びに農協などを通じ、積極的に趣旨の徹底を図っていただくようお願いを申し上げておきます。 次に、コンクリート劣化対策と土木行政について執行部の見解をお尋ねしたいと思います。 最近全国各地で、高速道路の橋脚やマンションなどでコンクリートのひび割れや劣化現象が続発しているため、建設省では、原因の本格的な究明を進めるとともに、安全確保の立場から、コンクリートに使う材料の新しい基準づくりを急ぐことを決めたと聞いております。執行部においてももちろん研究課題として取り組んでおられると思いますが、以下、基本的な考え方について三点だけお尋ねをいたします。 まず第一点は、コンクリートは果たして永久構造物なのかどうかということであります。 私たちの一般常識としては、コンクリートは永久的な構造物という認識が浸透しております。しかしながら、コンクリートが登場してからまだ百年足らずで、初めは孫子の代まで伝えることのできる永久構造物と考えられておりましたが、最近では有限構造物という見方が指摘され始めてまいりました。木造建築物では千年を超える建物もあります。石づくりには海外にそれ以上の例が伝えられております。ところが、鉄筋コンクリートづくりの場合、その歴史が浅いだけに一体どのくらいもつのか実証されていないところに問題があります。 したがいまして、私どもがここで考えなければならないことは、コンクリートが永久的でない構造物とすれば、百年も耐久力のない都市施設、住宅の将来設計は大きく変わってくるはずであります。まず、この点について執行部はどういう認識を持っておられるか、お尋ねしたいのであります。 次に第二点は、コンクリートの劣化対策であります。 現在、コンクリートにかわる有効材料がないこと、劣化対策にも決め手がないという状況下において、関係者がいたずらに発言すれば、逆に社会的な混乱を招くものとして、そのほとんどは一様に沈黙したままであります。 聞くところによりますと、コンクリート劣化の原因の一つにアルカリ骨材反応があると言われております。骨材として使われている砕石がコンクリートの中で、アルカリ性のセメント及び水と化学反応を起こして新しい物質をつくり、水を吸収して膨脹、ひび割れを生じさせているというものでありますが、では、その防止策、つまりコンクリート劣化対策はどうすればいいのか。現在考えられている効果的な対応について土木部の所見をお伺いしたいのであります。 また、コンクリートが有限な材料とするならば、その寿命を延ばす方策も当然のこととして考えていかなければなりません。しかし、現在そのための可能な対策は、維持管理をきちんと行っていく以外に方法はないのではないかと思うのであります。これまでコンクリートは永久構造物という考え方が定着し、維持管理はなおざりにされております。これでは劣化を早めるだけで、住宅の場合でも、建てれば終わりという考え方から、建てた後も、建物そのものの維持管理をスムーズに機能させるという考え方に転換しなければならないと思うのであります。 したがいまして、マンションなどの修繕に充てる積立金に対する税制上の優遇措置や、建てかえ、大改修のための低利長期の融資制度創設など、土木行政の一環としてソフトな対策も検討しておかなければならないと思うのでありますが、こうしたコンクリートの耐久性の向上策とあわせてソフト面の対応をどう考えておられるのか。 以上、三点について土木部長の所見をお伺いしたいと思うのであります。  〔土木部長小野満司君登壇〕 ◎土木部長(小野満司君) お答えいたします。 第一点のコンクリートは永久構造物なのかどうかということについてのお尋ねでございますが、我が国でコンクリート構造物ができましたのは明治の中ごろからでございまして、大体百年くらいになるところでございます。本格的に建築されるようになったのは関東大震災以降のことでございまして、その意味では我が国の鉄筋コンクリート建築物の歴史は約六十年程度と考えられております。 コンクリートの寿命は明確にどれだけということはなかなか困難な問題でございますが、ちなみに現行法規上の耐用年数の表現では、事務所ビル、住宅等の一般のコンクリート構造物は六十年ないし七十年を前提といたしております。また、コンクリートダムの便益計算では八十年、同じくコンクリートダムの堆砂計算では百年を対象にいたしております。実際のコンクリートの寿命は、材料、施工の良否等によって差があるのが現状でございます。したがいまして、コンクリートの構造物は、材料を正しく選び、配合を適切にし、入念な養生を行い、細心の品質管理に努め維持管理を行えば、相当の寿命があるものと考えております。 第二点のコンクリートの劣化対策についてのお尋ねでございますが、御指摘のように、最近全国的に鉄筋コンクリート構造物の一部について、塩分による鉄筋の腐食、またアルカリ骨材反応によるコンクリートのひび割れの発生等が見られまして劣化現象が問題となっております。そのため建設省では塩害とアルカリ骨材反応対策として、昭和六十一年六月にコンクリート中の塩化物総量規制基準が策定され、また、六十二年四月にはアルカリ骨材反応暫定対策指針が策定されたところでございます。本県においてもその基準及び指針を踏まえて実施要領を作成し、六十二年四月一日から既に施行しているところでございまして、県関係機関、コンクリート関係業界に通知し、さらに周知徹底させるため講習会及び研修会を既に実施しているところでございます。 第三点のコンクリートの耐久性向上とソフト面の対策についてでございますが、コンクリートの耐久性向上にとって維持管理の重要性については御指摘のとおりでございます。 次に、お尋ねのマンション等の修繕に充てる積立金に対する税制上の優遇措置についてでございますが、現在のところ制度的には特段の優遇措置はとられていないというのが現状でございます。また、建てかえ、大修理のための低利長期の融資制度の創設についてでございますが、この種の制度として、住宅金融公庫が六十二年度に住宅改良資金貸し付けの制度を整備拡充し、低利による共同住宅等の改修が可能となったところでございます。 現在、問題とされているコンクリート耐久性向上には、繰り返しますが、良質の材料を用い、適切な方法で、十分に練りまぜたコンクリートを正しい方法で運搬打ち込み、締め固めを行い、そして十分な養生を行うことが大切でございます。 いずれにいたしましても、生産者と施工者が共通の立場に立ち、コンクリート構造物の品質向上のため研さんすることが必要でございまして、県としても十分な情報、意見の交換あるいは研修を行うなど、関係業界の協力を得ながら努力してまいりたいと思います。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) コンクリートが有限構築物とするならば、将来は当然その工法も変わってくるでしょうが、当面必要なことは、劣化原因と思われる骨材の排除と構築以後の維持管理方法を確立することであります。執行部におかれましては、早急に国その他の試験研究機関における情報の収集、試験研究成果の分析に努められ、コンクリート構築物に対する社会不安を除去する対策を講ぜられるとともに、ソフト面につきましても疎漏なきよう適切な対応をお願いしておきたいと思います。 次に、高等学校における職業教育、とりわけ農業教育について教育長にお尋ねしてまいりたいと思います。 近年、我が国の産業界の趨勢を眺めてみますと、エレクトロニクスの発達を中心に、バイオテクノロジー、新素材の研究開発といった技術革新によりまして、産業構造は新しい技術や知識をより多く必要とする方向に一段と速度を速めながら変化しております。各種事業所におきましては、パソコンやワープロなどの電算機器の導入、活用が積極的に進められ、もはやコンピューターなくしては企業活動そのものが成り立たないといった時代であります。 こうした時代の要請にこたえ、新しい知識、技術を持つ高い資質を備えた産業人の育成こそが職業教育に課せられた今日的課題であろうと存じます。特にただいま申し上げました産業界の変動は、第一次産業であります農業の分野においても決して例外ではなく、生産性の向上はもちろん、情報、デザインなどの重要性が著しく認識されることと相まって、研究開発、企画、販売といった部門の拡充強化という、これまでの農業の生産方式とは異なった状況になることが予想されるところであります。しかも最も重要なことは、こうした変動のテンポに現在の農業経営者がおくれずについていけるかということであります。 本県の基幹産業であります農業の現況を見た場合、こういった先進的な農業の将来展望とは裏腹に極めて厳しい状況にある現実を認めざるを得ないのであります。農家経営そのものが楽でないことは言うまでもなく、農業に従事する人の数、年齢に至るまで将来の展望は決して明るいものではございません。昭和五十九年までおおむね着実な伸びを示しておりました農家所得も、以後伸び率は低下の傾向にあります。六十二年の農業従事者数についてみましても、十四万四千人のうち六十歳以上の占める割合が三四・七%で、五十五年に比べて八%も上昇し、逆に十六歳から二十九歳までの若年層は一〇・二%で、五十五年のそれより七・五%も低下しております。しかも、最近マスコミをにぎわしております農産物自由化の問題は、好むと好まざるとにかかわらず、我が国の農業に大きなダメージを与えることは避けられないところで、本県農業の柱である畜産農家やミカン農家の方々の状況から安易にこれを許すことは、本県の農業のみならず地域社会全体の浮沈を左右する重大な問題であると言わなければなりません。 こうした厳しい農業の現状を直視し、知事が提唱される足腰の強い本県農業を築き上げるには一体どうしたらいいのか。私は、何といってもそのために必要なものは人であろうと思うのであります。近年、不振にあえぐミカン暴落の中にあって、着実に収益を上げているハウスミカン栽培農家の話を聞きました。このことは、やり方、知恵の出し方によっては農家経営に明るさを取り戻せるという一例でもあります。 戦後の荒廃した我が国の経済をここまで大きく安定したものにした過程においては、それぞれの産業の分野で多くの苦難の時期もありましたが、そのたびに日本人の勤勉性、柔軟性、根性は、うまくそれを切り抜けてきたわけであります。これからの農業経営が高度化していく中で、生産技術ばかりでなく、幅広い企業的農業経営の感覚や心構えを持った人材をいかに育てていくか。このことこそ日本農業にとって今最も大きく大事な課題であろうと思います。 県下十三の農業高校で学ぶ五千八百人の生徒に対する職業教育の成否は、農業県熊本の二十一世紀における盛衰を決める基調であると信ずるものでありますが、その衝に当たる教育長は、この問題をどのように認識しておられるのか、そして農業教育をどう進めようと考えておられるのか、基本的な見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 科学技術の目覚ましい進歩、産業、経済の発展の中で、農業を取り巻く状況がますます厳しさを増してきていることは御指摘のとおりでございます。 このような状況の中で、新しい農業を担う人材というのは、広い視野と鋭い経営感覚を持ち、先端的な技術の導入や情報化にも対応できる柔軟性を備えた農業経営者であるというふうに考えております。そのために、一つには、勤勉、努力の態度、二つには、創意工夫する力、三つには、生産のみならず流通や経営、デザインにも配慮できる能力、四つには、我が国の農業のみならず世界に目を向けることのできる経営者の育成を目指さなければならないというふうに考えております。 そこで、各農業高校におきまして今さまざまな改革を進めているところでございますが、その一つは、バイオテクノロジー等の先端技術の導入でございます。鹿本農業高校におけるバイオ工学科の新設のほか、十二校にバイオ関係の実験施設を整備し、つまり、すべての農業高校にこれらの施設が整備されておりまして、組織培養とかバイオリアクターの指導に取り組んでおるところでございます。 また、流通や経営につきましても、学科の新設といたしましては、熊本農業高校の農業経済科、八代農業高校の農業経営科、これらを設置したところでございますが、そのほか、各農業学校におきまして農業経営等の授業の中で、積極的に流通や経営の問題等について指導しているところでございます。 これらと関連いたしまして、情報処理につきましても、農業高校全体で現在三百十一台のパソコンが導入されております。その利用法の指導に鋭意努力しているところでございます。 また、これらのバイオ施設やパソコン教室の利用につきましては、地域に開かれた学校という観点から、地域の農業経営者との交流を積極的に進めておるところでございます。例えば八代農業高校では、農家の皆さんを対象に、農業経営に関するコンピューター研修会を開催しております。玉名農業高校では、イチゴのバイオ技術につきまして、地域の若い農家の方々に集まっていただき、技術の習得、技術の交流を行っているところでございます。そのほか、矢部高校とか球磨農業高校などでも、それぞれ地域農業、地域の農家との緊密な連携に努めておるところでございます。 今後とも教育課程の見直しや地域との連携を一層充実させながら、新しい時代の農業経営に必要な資質の向上を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  〔島田幸弘君登壇〕 ◆(島田幸弘君) これからの農業経営者は考える人でなければならないとはよく言われているところでありますが、広い視野と鋭い経営感覚を持ち、先端的な技術の導入や情報化にも対応できる柔軟性を備えた人材を養成することは一朝一夕にしてできるものではございません。そうした意味で、今教育長の答弁にありました農業高校における職業教育の理念に心から賛意を表したいと思います。どうかその考え方を末端の教育現場まで浸透させられますようお願いを申し上げておきます。特に本県農業の後継者の育成をよろしくお願い申し上げます。 私の通告した七項目にわたります質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(米原賢士君) 昼食のため午後一時まで休憩いたします。  午前十一時二十六分休憩      ―――――――○―――――――  午後一時二分開議
    ○副議長(古閑三博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 鬼海洋一君。  〔鬼海洋一君登壇〕(拍手) ◆(鬼海洋一君) 日本社会党の鬼海洋一でございます。ただいまから党を代表して一般質問を行います。どうぞよろしくお願いをいたします。 冒頭に、先般の五月三、四日の豪雨によって県下中南部を中心に大災害が発生いたしました。不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。 私は、先般十二月県会で初めての質問を行う機会を得ましたが、その中で、経済問題、農業問題、地域の産業、生活基盤の確立について私なりの見解を表明しながら、熊本県づくりへの提言とその取り組みに対する質問を行わせていただきました。知事並びに執行部の方々にも御理解をいただきましたが、今回二回目の質問を行うに当たり、前回の質問の趣旨をベースに、いま少し具体的に商工問題、農業問題を中心にその他の問題をお伺いすることにいたしました。積極的な御回答をいただきますようにお願いをしておきたいと思います。 まず最初に、商工行政の中の幾つかの問題についてお尋ねをいたします。 その第一は、特定不況地域雇用対策であります。 昨年六十二年度の県政の最重要課題は、特定不況地域の経済活性化、あわせて雇用対策でありました。この一年、議会、執行部、当該自治体は、そのために力を合わせて事態解決のための努力を行ってこられました。私自身もその一員として参加している中でよく承知いたしておりますし、その努力に心から敬意を表したいと思います。 確かに、金融対策を中心とした各種不況対策事業の展開によって、有効求人倍率の向上など一定の解消が図られてまいりましたが、住民が安心してその地で生活を営む上で十分にその効果が発揮されていないこともまた事実であります。しかも、折も折から、三井三池鉱業所の昨年に引き続く希望退職者募集の提案、同じく東海カーボンの再度の希望退職募集の提案は、ようやく青空が見えかけたそこに働く労働者に冷水を浴びせるものであり、地域にとっても大いなるショックでありました。 三井三池鉱業所は、昭和六十三年度の生産を三百五十万トンから三百十五万トンにする、これに伴う余剰人員七百三十名については希望退職者を募る、削減目標に達しない場合は、定年制の弾力的運用、すなわち五十五歳定年退職年齢を五十二歳まで繰り上げ退職を検討するという、大変厳しい、しかも一方的な合理化案を提案したのであります。約二百九十トンに及ぶ貯炭の山を抱え、需要に見合う生産体制の移行が強く求められた結果とはいえ、円レートの急激な上昇と産業構造の転換による失業者の増加、これに伴う人口流出が進む中、昨年の合理化による離退職者の再就職が困難をきわめている荒尾市にとってさらに新しい生活不安と雇用問題を抱えることになり、また荒尾市経済に及ぼす影響もはかり知れず、ますます深刻化するばかりであります。 一方、東海カーボンについても同様であり、昨年末からの合理化の影響はいまだ大きな傷痕として残り、百二十名を超える方々が再就職のめどすら立たないという状態にあるわけであります。しかも、その中の百十九名は現在雇用保険受給中であり、その受給期限もほとんどがことし八月中には受給期限切れになるわけでありまして、深刻さの度合いについては日に日に逼迫の度合いを強めているわけであります。そして、ここにもまた五月二十四日付熊日新聞で報道されましたように、十七名の新たな出向が提案され、近々再度の合理化提案がなされるのではないかという心配が広がっております。 このような状況の中で、県は事態をどのように認識され、当該企業に対する対応、また両地域に対する対応をどのようにされようとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。あわせて、先般の議会でも問題になりました西日本製紙問題での従業員対策、地域への対応をどのようにされてきたのか、現状はどのようになっているのか御質問いたします。 二番目に、地域における商工業施策の総合的推進について御質問いたします。 五十七年企業誘致対策室が設置されて以来、六十一年三月三十一日まで誘致企業数六十九社、さらに四十年から見てみますと二百七十二社、雇用労働者数三万七千二百十三名に及び、五十五年産業連関表によりますと、五十七年段階での県経済への影響波及効果は一八・二%、雇用効果は三万人の新規雇用者を含め十一万五千人を数え、県経済に極めて大きな貢献をなしていることを読み取ることができるわけであります。ところが、この間、三十数社に及ぶ倒産、企業撤退なども行われており、企業誘致活動と同時に、誘致された企業動向について十分な把握と問題点への早期対応が求められております。 近年の産業動向の趨勢は、誘致企業にしても、何回も指摘があっておりますように、その大半がテクノゾーン内に集中しておりますように、熊本都市圏への集中、相対的にローカルの企業数、雇用労働者数の減少に大きな特徴がありますが、私ども地域に住まう者にとっては、それらの趨勢の中で、新たな企業誘致への期待と同時に、今存在する企業をいかに残していくのか、企業に頑張っていただき充実強化の中でいかに地域の雇用を拡大してもらうのか、そのことがより現実的な課題となってまいりました。そのためにはいかなる協力も惜しまない気持ちであります。 そこで、私は一つの例を紹介したいと思います。午前中質問されました島田先生の地元でもありますが、日立造船の下請企業である桑名興業は、造船不況のあおりの中で極端な受注減となりました。一時企業閉鎖も考えられたわけでありますが、労働組合としては何としても雇用確保を考えたい、そのためには業種転換の道を進む以外にないと決意し、所属する全国金属熊本地本の支援を受けながら、また使用者の理解を得ながら、みずから同じ労働組合が所属する他の企業から、これまでの仕事上のノーハウを生かし得る受注を確保する取り組みを続けました。そしてその生産に全力投球を行ってまいりましたが、その結果、ついに船舶資材組み立て部門から建築資材組み立て部門への業種転換に成功し、雇用を確保することができたわけであります。もちろん県の支援もお願いをしてまいりました。 現在、各地で多くの雇用問題が発生しています。三井三池、そしてまた東海カーボンあるいは西日本製紙でもありましたように、しかしそのほとんどが問題が発生してからの対応であります。病気も早期発見、早期治療で完治するように、このことは経済社会にも当てはまる事柄であります。問題は、先ほど申しましたように、日常の経済情勢を正しく把握し、病を持つ企業への可能な限りの行政支援を行うことによってその企業は立ち直るという実例であります。このことが緊急の課題だと考えるわけであります。 ところが、ローカルの広域的な商工業動向を把握し、身近に対応すべき県事務所内に商工業を担当するポジションがないわけであります。このことはどう考えても今日的な地域が抱える現状にそぐわない状態であります。きちんと県事務所内に担当窓口を設置し、職員を配置し、一方、関係市町村と連携を深めながら県の対応部課との有機的な連携を図ることが、地域が切望する今日的な課題だと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。 また、この問題とあわせ、今回融合化法案の公布に伴い、中小企業の異業種交流を行う中で、技術、経営管理などの知的融合を行う事業展開が図られるようになっておりますが、県として具体的にこの事業を、今申し上げました観点からどのように進められようとしているのか、お尋ねをいたします。 次に、労働時間短縮と労政行政の強化について御質問いたします。 今定例議会の知事提案理由説明でも具体的に盛られておりますように、県職員の勤務時間に関する条例等の一部改正が提案されております。 この数年、世界の先進国から、日本人は働きバチだというさげすまされた、ありがたくない形容詞をつけられた批判を受けてきましたが、六十一年度一人当たりの年間労働時間が、アメリカ千九百二十四時間、イギリス千九百三十八時間、フランス千六百四十三時間、西ドイツ千六百五十五時間、日本は実に二千百五十時間という事実を突きつけられてはいかんともしがたいことであります。しかも、そのことが間接的に日本の円高要因の大きなファクターであることは多くの関係者が認めるところであり、週休二日制を求め、労働時間短縮の流れをつくることは、全労働者の願いでもあり、健全な日本経済の発展にとっても極めて重要なことであります。職員の勤務時間の一部改正の案件につきましても無事成立を願うものであります。 ところで、本県労働者の実態は、賃金、労働条件、労働環境ともに極めて劣悪であります。日本一づくりが提唱され、多くの日本一が存在するようになりましたが、このような中で、六十一年度労働省勤労統計による三十人以上の事業所による賃金平均で、全国が二十二万五千二百九十三円、熊本が十九万七百二十六円。このことは、全国平均の八四%、第三十五位であります。実労働時間は月間で、全国百七十七・三時間、熊本百八十・三時間、全国二十位という実態は、どう考えてもバランスを欠いた状態にあると言わざるを得ないわけであります。しかも、三十名以下の企業においてはさらに悪く、この基準を百人以下の企業を対象とした場合、双方とも全国最下位と言われているわけであります。浦田勝・労働政務次官も、出身県熊本の状態に茫然とされたと伝え聞いております。 大企業や公務員労働者を中心に、週休二日制、労働時間短縮の波は世界の要請とも相まり大きな流れとなりつつありますが、問題は、その流れを中小企業労働者の方々まで波及させることができるかどうかが重大な問題であります。県労働行政として、このような問題をどのように認識され、解決されようとしているのか、お尋ねをいたします。 現在、熊本県における労働組合員数は約十二万人、推定組織率二二%と把握されておりますが、裏を返せば、労働組合をつくられていない方々が七八%、約四十三万人に上ることになります。 今日、県内労働行政の推進については、労政課、労政事務所を通じて各種の施策が講じられており、職員の方々の並み並みならぬ努力を多とするところであります。しかし、中小企業未組織の労働者の方々の抱える問題からすると、その機構は、県労働行政機構として余りにも不十分であると指摘せざるを得ないわけであります。私自身、十七年間地域の労働運動を担当し、その間、未組織労働者の職場の実態を嫌というほど突きつけられてまいりました。最低賃金法、労働基準法、労働安全衛生法など、最低の条件すら確保されていない企業は数多く、労使関係はもちろん雇用すら不安定な条件下に置かれているところも少なくありません。経済変動のたびごとに、労働者を解雇したり、雇い入れたりの繰り返し。しかも、やめざるを得ないようにしむけながらの退職措置を見るに至っては、激しい憤りを感じることもたびたびでありました。そこに働いている人々はそのほとんどが地元の方々であります。先ほど県内労働者の週休二日制への移行、時間短縮に向けての県としての指導性の発揮について要請いたしましたが、この未組織労働者の改善こそが緊急の課題であります。 このような事態の中で、県は六十年四月から天草労政事務所を廃止し、熊本、八代二カ所に組織統合を図られました。このことは、事態を十分把握されていないか、労働行政の軽視のあらわれとしか言いようがないわけであります。私は、労政行政の高い位置づけと機構の充実強化を再度お願いしたい。まずは強く要望するものであります。また具体的に、労使双方の指導が可能であるような部全体としての労政課職員への権限保障が必要であろうと考えております。そのことが県内多くの未組織労働者の願いだと確信しているからであります。考え方をお示し願いたいと思います。 以上、三点の御質問をいたしました。商工観光労働部長の御答弁をお願いいたします。  〔商工観光労働部長森弘昭君登壇〕 ◎商工観光労働部長(森弘昭君) まず、特定不況地域雇用対策についてお答えいたします。 御指摘のとおり、総じてみれば景気は拡大の傾向を示しておりまして、本県の有効求人倍率は、本年四月には対前年比〇・二四ポイント上回りまして〇・六四倍となったところでございます。これは昭和五十年代以降最高の倍率となっておるところでございます。しかし、石炭・造船不況業種を抱えます荒尾・長洲地域の求人倍率は、若干の改善は見られますものの、〇・四一倍と県平均を大きく下回っておりまして、雇用情勢はなお厳しい状況にあるわけでございます。加えて、三井石炭鉱業株式会社三池鉱業所において、昨年に引き続き合理化が行われるとなれば、下請企業の停滞等地域経済の不振や雇用不安の増大につながるものと懸念しているところでございます。また、東海カーボン田ノ浦工場に関します先般の一部新聞報道につきましては、水俣・芦北地域の雇用情勢の改善が進まないこともありまして、離職者及び在職者の心配が広まっているところでございます。 このような実情を踏まえまして、三井石炭鉱業に対しましては、合理化についての労使間の十分な協議、三池炭の貯炭の抜本的解消、需要の開拓及び離職者の雇用確保のための関連グループによります新事業の展開等につきまして先日正式に要請したところでございます。 次に、両地域に対します対応でございますが、昨年四月施行されました地域雇用開発等促進法に基づき設置した県北部及び県南部雇用開発会議等を通じまして、地域の振興計画に沿った地域雇用開発が進むよう、地域内産業・雇用動向の把握及び雇用開発に関する情報の事業主への提供等を行いながら、地域雇用開発助成金の活用による雇用開発の促進を図っているところでございます。さらに石炭離職者対策といたしましては、関係公共職業安定所関係技能開発センター及び関係市等をメンバーといたします石炭鉱業等離職者対策連絡会議も設置して対応しているところでございます。 今後ともこれら会議の一層の活用を図りながら、雇用開発の促進を図るとともに、雇用保険給付の延長、きめ細かな職業相談の実施、職業能力開発制度の積極的活用、地域雇用開発助成金及び特定求職者雇用開発助成金制度等の各種援助措置、あるいは荒尾、玉名両公共職業安定所に設置した求人開拓専任職員や、今月一日スタートいたしました総合的雇用情報システム等を効果的に活用しながら、再就職の促進に一層の努力をしていく考えでございます。 また、西日本製紙の閉鎖に伴います問題でございますが、同社の閉鎖によりまして従業員の雇用問題や地域に与えます影響が懸念され、県議会にもいろいろ御尽力いただいたところでございます。幸い、退職者のかなりの方々を十條製紙及びその関連会社等で雇用していただいたほか、さらに、このほど既に本県に立地しているIC関連企業が坂本村へ進出することが決まるなど明るい見通しが立ったところでございます。 次に、誘致企業を含めた地場企業の現況把握とその振興方策についてのお尋ねでございますが、地域における経済情勢を的確に把握し、商工業の振興を図ることは、御指摘のように地域の活性化にとって極めて重要な課題であり、このため県といたしましては、地域商工業の総合的な改善、発達を図る目的で設立されました商工会及び商工会議所を通じる等によりまして各種の施策を行っているところでございます。 現在、県下の八十七商工会、九つの商工会議所の人件費、事業費の大半を国、県で負担し、四百五十七名の指導員等を配置して、実態に即したきめ細かな経営指導や施策、制度の普及等を行っているところでございます。六十二年度は、地域商工業者に対しまして、窓口及び巡回によります相談指導が十二万六千五百二十五件、講習会の開催が千三回、融資のあっせんが八千七百七十五件に上っているところでございます。 特に、倒産防止特別相談事業におきましては、二百十一件の相談に応じ、再建計画の指導等の措置を講じました結果、相談企業のほとんどが倒産を回避しているほか、高度な専門的相談に対しましては、所要の専門家を企業に派遣するエキスパートバンクを設置するなど、地域中小企業の実情に沿った総合的な事業展開を図っているところでございます。また県事務所におきましても、本年四月の機構改革におきまして総務振興課の再編を行い、総合的な地域振興ができるような体制の充実強化を図ったところでございます。 今後、総合的な地域振興の観点から、市町村や商工会議所等との連携や情報交換を密にし、商工業の活性化を含めた地域の振興を図ってまいりたいと考えております。 次に、中小企業の融合化につきましては、第一段階としての異業種中小企業者の交流の場の提供を初め、第二段階としての経営資源の融合化によります新製品の開発、そして第三段階として、その事業化に至るまで順次段階的にその促進を図っていくこととされております。したがって、交流の第一段階におきましては、異業種中小企業者の交流を行う機会の提供、確保を図るとともに、第二の開発段階では、異業種中小企業者で構成します事業協同組合が行う新製品の開発等に対しまして、資金負担やリスクの軽減を図るため、所要の資金助成を行うこととしているわけでございます。また、開発の成果が結実し、第三の事業化が行われる段階につきましては、国とともに事業化資金に対する融資制度の整備を図る予定でございます。 いずれにいたしましても、新しくつくられましたこの制度を積極的に活用して、産業構造の変化に地域中小企業が対応できるよう、国及び関係機関とも密接な連携をとりながらその推進に努めてまいりたいと思っております。 それから第三点の労働時間短縮と労政行政の強化についてでございますが、まず、労働時間の短縮につきましては、我が国の経済的地位にふさわしい豊かな国民生活を実現し、ゆとりあるライフスタイルの定着を促進するために必要不可欠な課題でございまして、内需拡大、中長期的に見た雇用機会の確保等、産業、企業の活性化、ひいては我が国経済社会全体の活力維持増進に資するものと考えております。 国におきましては、今後五年間に年間総実労働時間を千八百時間程度に向け、できる限り短縮することを目標とした労働時間短縮推進計画をもとに対応が進められているところでございます。労使におきましても、意識の改革、労働慣行の見直し、親企業の下請中小企業に対する配慮、産業別、業種別集団による取り組み等、積極的かつ自主的な対応が必要であると考えておりますが、県といたしましても、これまで以上に国の関係機関と連携をとりながらこの問題について努力してまいりたいと思っております。 具体的には、労使の自主的努力に対する指導、援助、さきの労働基準法改正を機に設置された労働時間改善コンサルタント、時間短縮アドバイザーの活用、時間短縮好事例や時間短縮手法等についての情報の整備と提供、あるいは時間短縮シンポジウムの開催、各種啓蒙啓発等を積極的に行ってまいりたいと考えておるところでございます。 次に、労政行政の強化についてでございますが、社会経済情勢の変化、勤労者意識の変化等によりまして、未組織労働者の一層の増加が予想され、また、未組織労働者の大部分が働いている中小企業におきましては、労働条件、労働福祉等の面で大企業との格差の拡大が懸念されているところでございます。したがって、御指摘のとおり労政行政の充実強化が必要であると考えておりますが、このため、労働基準行政、婦人及び勤労青少年行政あるいは商工行政等との一体的な業務の推進が必要であると考えております。 今後とも、労働基準局や婦人少年室等の関係機関はもちろんでございますけれども、民間に委嘱している中小企業労働相談員あるいは中小企業労働福祉専門相談員等とも十分連携をとりながら問題を処理してまいりたいと思っております。また、労政行政に携わる職員に対しましては、勤労者の職業生活や福祉に係るニーズの的確な把握ときめ細かな対応が求められておるところでございまして、このため研修等を通じて担当職員の資質の向上にも努めてまいりたいと考えております。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 三点の質問に対し御答弁をいただきました。質問者の私としては、この三点はすべて関連している問題だと考えているわけであります。特に雇用問題、労働行政の効果ある展開にとって、地域経済の活性化、そのためには指摘いたしましたように、地場企業の育成と問題を抱えるところの存続に対する日常的な対応をいかに図るかということに尽きると考えております。今御回答の中で、有効求人倍率は最高の倍率を示しているという回答をいただきました。しかし、この中身についてもよくよく分析してみますと、これまた先ほどから問題になっておりますように、地域の企業にとっては有効求人倍率は確かに若干上がっておりますけれども、しかし、経済変動の影響を最も受けやすい業種にこの雇用拡大状況というのは出ているわけでありまして、このことは極めて危険な、ある意味では一過性の要素を持つ状況でもあるんではないか、そのように受けとめております。そしてまた基本的には、地方と熊本都市圏における雇用のアンバランスが生じている。この状況を特に強く認識していただきたいと思っているわけであります。 県事務所の商工担当者の設置については明快な御答弁をいただくことができませんでした。地域振興課の人員増の紹介もあったわけでありますが、現実の業務は、地域振興課というのが確かにできましたけれども、商工の分野に取り組むことはまずできない状態にあることを申し上げておきたいと思います。私は、もう一回申し上げますけれども、関係市町村とともに、それぞれの企業動向を身近に把握して行政としての即効性ある行政支援を行うことが、今日私ども地域が抱えている最も求める問題ではないか、こういうふうに思っているわけであります。特に、これまでのシステムを強化しながらそれらに対応したいということでありますが、経済情勢の大きな変化の時代を迎えているわけであります。大胆に発想の転換を図り、部内のシステムについても情勢に合った対応を図られることが大切であろうと思います。 特に、労政行政についても、今婦人少年室等のことも答弁されたわけでありますが、要するに、商工観光労働部の中で、お互いが連携し得る体制、立体的な組み立てをいただきますようにお願いし、この件につきましては改めて要望していくことを申し上げまして、商工問題に対する質問を終わらせていただきます。 次に、農政の諸問題について御質問いたします。 まず第一は、農畜産物輸入自由化反対決議に対する県の対応についてであります。 ガット提訴十二品目の自由化裁定、牛肉・オレンジの日米交渉、畜産振興審議会における牛肉、豚肉の価格引き下げ、そして麦価、米価の再度値下げの動きなど、農家にとって予想もしなかった苦難の時代に入りました。一体、何をつくればいいのか、農業はどうなるのだろうか、生活は成り立つのだろうか、今多くの疑問や悩みがとめどもなく農家の上に押し寄せています。依然として農業そのものが地域経済、地域社会にとって大きな役割を果たしている本県にとって容易ならざる事態の到来であります。 本議会としても事態を重視し、昨年十二月議会、本年二月議会において、ガット提訴十二品目の自由化反対、牛肉・オレンジの完全輸入自由化反対の決議を行い、政府に対して県民の総意としての意思表明を行いましたが、執行部としてこの間どのような対応をされたのか、お答えをいただきたいと思います。 次に、十二品目の自由化裁定に続く牛肉・オレンジの完全輸入自由化がなされた場合の県経済への影響についてお伺いいたします。 先般、「世界の中の日本・食糧・国家の選択」というNHK特集、緊急リポートが放映されました。大きな関心を持っていたわけでありますが、放送時間が日曜日の夜、しかも最も忙しい時間帯でありましたので、その一部しか見ることができず極めて残念に思っていました。ところが先日、本屋をのぞいている折に、ふとこの特集番組の出版物を目にすることができたわけであります。私は、十二月の一般質問で、北海道の横路孝弘知事が北海道の農業を守るために精力的に活動されていることを紹介いたしました。このリポートを読みながら、なるほどと一人うなったわけであります。検証特集には、十二品目自由化が及ぼす北海道経済への影響が特集され、三つの産業連関表によるシミュレーション分析が試みられてありました。 この報告書では、北海道の農業粗生産額の減少推定率を二四%と想定し、全産業に及ぼす波及効果を計算してあったわけであります。驚くことに、道内総所得の減少が、農業粗生産額の減少推定率二四%でもってその減少数値が五・六%、金額にしてマイナス六千二百五十七億にも上り、最も注目すべきことは、そのことによって六・五%、十七万人の北海道内の雇用減少が起こるという推定結果であります。北海道の酪農地帯に中標津町というのがありますが、そこでは町の総生産額の減少が五六・二%であります。雇用の減少が五〇・四%であり、このことは、高島炭鉱が閉山された後の長崎県高島町に匹敵する影響であり、非常な推定結果として報告されていたわけであります。 先般、農政部長は、十二品目が自由化され、牛肉・オレンジが完全自由化されたなら、県内農業者はもちろん主産地形成している地域経済、関係市町村に極めて大きな影響が出ると答弁されました。熊本版シミュレーションを行ったときに一体、県内総生産にあるいは県内雇用にどれくらいの影響が出るのか、お答えをいただきたいと思います。 三番目に、消費者と農民の相互理解を高めるための施策についてお尋ねをいたします。 日米間の農産物問題は農産物戦争とも言われ、そこまでは求められることはなかろうと考えられていた国内農産物価格との競争バランスをとるための水際関税までも否定され、さらにガットで認められている米の輸入までも求められる状況になっています。しかし「敵は本能寺にあり」とも言われ、この圧力をはね返すには、国内における農業を守るための国内世論をつくり出すことが極めて重要になってまいりました。 今アメリカはECにも同様の要求を突きつけています。しかし、EC諸国は、この問題について妥協しない旨の姿勢であり、今日の日本政府とは実に対象的であります。EC加盟国である西ドイツでは、中規模であっても家族経営農業を維持していくことを決断し、八七年度の農業予算を前年度に比べ一四・二%ふやし、中小経営の農家の保護政策や、山岳地帯などハンディキャップのある地域の農民の保護を行い、地域政策や社会保障を将来も一貫して重視していくと言明しています。キーヒレ農相は、西ドイツのような工業国家では農業は経済面のウエートは低いのですが、しかし、国民の食糧を供給していること、生活環境を保護していること、そして地域社会を守っているということから農業は重要な役割を果たしています。工業立国ですが、将来も農業を維持する保護政策を続けますと言っているのであります。消費者や財界もまた同様の位置づけによってこの政策を支持しているのが特徴的であります。 ところで、西ドイツには国内農産物の売り込みや農業の実情をPRする独特の組織としてCMA、西ドイツ農産物振興会があり、この活動によって消費者の高いレベルの理解を得ることに成功していると聞いております。西ドイツにおける消費者の農業に対する高い位置づけは、いつの間にか漫然と醸成されたものではなく、そのための主体的な政策展開、惜しみない努力によってその結果としてあるということを知らなければなりません。 私は、自由化の県内影響を試算数値として明らかにするように求めましたが、本県農業に対する正当な位置づけが県民合意として不十分のような感じがしており、そのことが気がかりであります。もとより経済団体である農協を中心にして消費者や消費者団体との相互理解を深めるための施策が今求められていると考えるわけでありますが、この件に対してどのように施策を考えておられるのか、御答弁をお願いいたします。 行政監察結果報告を受けての農協指導と、あわせて農協合併の問題について質問いたします。 ほとんどの農協には「一人は万人のために 万人は一人のために」というスローガンが掲げてあります。生活協同組合運動の基本理念であります。何回も述べましたように、かつてない農業、農家・農村の危機の中で、国の農政の確立を確固たるものにさせなければなりませんが、今やそのためにも農協自身が協同組合運動の基本理念を確固とし、主体性を発揮した運動の展開を図ることが極めて大切であります。 ところで、総務庁は六月六日、農協行政監察結果報告書を発表いたしました。御案内のとおり「農協組織の運営と意思決定の在り方」「組合の経営管理の改善」「営農指導等の事業運営の在り方」「指導監督の効率的な実施、効果の確保」の四章から成る勧告書でもありますが、マスコミは一斉に「農協は営農指導に努力を」「ずさんな体質くっきり」「補助金漬け農政も批判」などと論評を加えています。すべての農協がそうではないと信じていますが、傾向として指摘される事項が特徴的に見受けられることは、農協組織みずからが自主的に再点検されることを望むものであります。 ただ、この中には、理事者の業務執行体制の確立、地域農業振興計画の策定など、農協組織に関する問題点とともに、行政官庁についても幾つかの注文がつけられております。特に頻発する不祥事件と相まち、県民並びに農協組合員からも関心の高い指導監督上の検査の実施、連携検査の実施などがそれであります。県としては、今回の農協行政監察結果について、どのように受けとめ指導をされようと考えておられるのか、お尋ねをいたします。 また、今日まで多くの努力を払いながら農協合併が図られてまいりました。巨大化する農協では経営に組合員の声が反映しにくくなるのではないか、あるいは今日の厳しさを乗り切るには、これまでのような小さな農協では対応できないなどの多くの議論を行いながらも、合併計画が策定され、各地で具体的な動きとなり、成果もあらわれつつあるわけであります。しかし、せっかくスケールメリットを追求しようとするその合併農協で役員問題が起こったり、また優良経営農協が参加されないなど、県と農協団体との間に認識のずれがあるのではないかと心配するものであります。監察結果を受けながら今後どう対応されるのか、お答えをいただきたいと思います。  〔副議長退席、議長着席〕 農業問題の最後になりますが、県農業信用基金協会の現状と今後の対応について御質問をいたします。 五月九日付熊日朝刊紙上に基金協会の記事が掲載されています。基金協会は、昭和三十七年に、信用力の低い農家の債務保証をすることで、農家に対する融資を円滑にし、経営改善と生産性を図る目的で設立されたものでありますが、近年、制度融資やプロパー融資の焦げつきによって、協会保証分の代位弁済額が急増し、結果として協会そのものの経営が極めて厳しい状況に直面していると見られるわけであります。発足の趣旨からして、その保証のリスクは極めて高く、幾分かの代位弁済は当初から覚悟しなければなりません。しかし、この五年間の代位弁済額は異常なまでに多く、そのすべてに求償権が確立されているとはいえ、回収分との差額は約十五億円にも上っており、来年度はさらに増加すると見られるわけであります。 県は、本年度から五年間にわたり、毎年六千万円の出資増を計画され、各自治体、農協団体とともに、新たに十億円の出資増によって、必要な農家の救済、協会の経営を支援されようとしておられますが、二年後、三年後の経営状況を推察する中で、このことはさらなる厳しさが予測されるわけであります。既に融資審査の甘さなどが指摘されておりますが、抜本的な検討が必要ではないかと考えるわけであります。今後の対応について御答弁をお願いします。 以上、五項目の質問を行いましたが、農政部長の御答弁をお願いいたします。  〔農政部長松村敏人君登壇〕 ◎農政部長(松村敏人君) まずお尋ねの第一点は、農産物輸入自由化反対の議会議決に対する県の対応についてでございましたが、牛肉・オレンジを初めとする農産物輸入自由化につきましては、本県農業の重要な位置を占めている畜産農家あるいは果樹農家等にとって非常に大きな影響が考えられますところから、全国知事会あるいは九州地方知事会並びに知事が会員となっております全国みかん生産府県知事会議あるいは肉用牛振興対策推進全国会議等、あらゆる機会をとらえて政府及び関係機関に自由化阻止を強く要請してきたところでございます。 現在、牛肉・オレンジの自由化問題はガットに提訴されておりますけれども、国では二国間決着を目指しまして精力的な交渉が行われているようでございますが、本県といたしましては、農産物自由化対策を検討いたしますために、部内にプロジェクトチームを設置いたしまして、関係機関と緊密に連携をとって情報の収集など対応に努めているところでございます。 それから第二点は、十二品目も含めての自由化問題が県経済へどう影響するかということでございましたが、御存じのとおり、牛肉・オレンジの輸入自由化問題は日米両国で大詰めの交渉が進められておりまして、交渉の推移は断片的に新聞報道等で知るところでございますけれども、自由化の時期であるとか、自由化までの輸入枠または輸入関税等国境措置を含めまして、自由化の条件が不透明な状況でございますので、定量的な影響を論じることは大変困難なことと考えております。 これまで、牛肉・オレンジ、米等に関しまして、国レベルでの学究的なシミュレーションが試みられておりますことは承知いたしておりますけれども、県等地域レベルでの有効な定量化の手法は確立されていないようでございまして、現在のところ本県では、お尋ねのシミュレーションは行っていないわけでございます。しかし、今後危倶されております農産物の市場開放に対応いたしまして考えられる影響を把握することが必要でございますので、先ほど御紹介いたしました部内に設置しております自由化対策プロジェクトチーム等で影響調査等についても検討してまいりたいと考えております。 それから第三点は、消費者と農民の相互理解を高めるための施策についてのお尋ねでございましたが、自由化問題への関心とか食料消費の健康・安全志向が高まります中で、食料、農業問題について消費者と生産者が相互理解を高めていきますことは大変重要な政策課題と考えております。これまでも、米まつり、ビーフフェア、果物まつり、花のバスツアー、都市と農村の交流など、いろいろなイベントあるいは消費者懇談会、広報活動を初めとする各種事業等を通じまして、農業団体等と連携を図りながら農業に対する合意形成に努めてきたところでございます。特に今年度は、昨年から農業者の皆さんと農業関係者が一体となって取り組んでおります新農業自立運動の中で、農業の精神的、経済的自立を促しますとともに、農業に対します県民の合意形成についての活動展開も考えているところでございます。 また、この運動と関連いたしまして、本県農業に対する消費者を含む県民の理解と合意形成を図りますために、本県農業の持ちます多面的な機能あるいは地域経済への寄与等につきまして調査、検討いたしまして、農業の位置づけと役割を明らかにしようとするいわば農業の役割調査ともいえます農業環境活性化事業を本年度実施することにいたしておりまして、その成果等も活用しながら一層消費者と生産者の相互理解を深めてまいりたいと考えております。 第四番目は、行政監察結果報告を受けての農協指導と、あわせて農協合併の問題についてのお尋ねでございましたが、県といたしましては、農協が健全に発展し、その機能を十分発揮できるよう日ごろから指導に努めてきたところでございますけれども、一部の農協における問題でありますとか、今回の行政監察結果もこれを真剣に受けとめまして、時代の要請にこたえるべき改善努力をする必要があると考えております。このため、県といたしましては、昨日知事が髙田議員及び中島議員にお答えいたしましたように、今後、農協に対する指導であるとか農協中央会に対する要請を行いますとともに、みずからも検査の充実を行いまして、また農協指導のあり方等を検討するための組織もつくることにいたした次第でございます。 それから、行政監察結果を受けて広域合併をどうするのかというお尋ねでございましたが、農協が今後の厳しい社会経済情勢の中で、農民のための組織として本来の使命を達成するためには、広域合併はますます必要であると考えております。広域農協につきましては、利用上の不便であるとか、職員と組合員の意思疎通がうまくいかないのではないか等懸念も聞くわけでございますが、支所機能や営農指導の充実など農協本来の役割を果たすように努めていただきますとともに、役職員が組合活動の理念を認識して組合員のため忠実にその職務を遂行されるなら克服できる問題であろうと考えておるわけでございます。今後とも合併に伴う諸問題を乗り越えまして、農業団体と一体となって合併を推進してまいりたいと考えております。 それから第五点は、県農業信用基金協会の現状と今後の対応についてのお尋ねでございましたが、御指摘のとおり協会の経営は極めて厳しい状況にございますので、県といたしましては、本年度協会に対する出資金の積み増しを行ったわけでございます。次年度以降につきましては、本年度の事業実績とか、それから六十三年度に協会で作成を予定いたしております経営改善計画を見た上で判断したいと考えておりますが、この経営改善計画の中で、求償権の積極的な回収、保証委託率の向上、保証範囲の見直し及び協会の経営合理化等を定めていただきまして、経営改善を積極的に推進するように要請してまいりたいと考えております。 また、単協におきまして、営農指導と融資が一体となった経営管理が行われますよう指導してまいりますとともに、融資機関、市町村の各段階におきます審査がより適正に行われますように指導してまいりたいと考えております。 また、県におきましては、昨年九月関係各課で県農業制度金融等運営会議をつくりまして、総合的かつ一体的に審査することによって適正を期しているところでございます。(「法律で足らぬところは条例をつくりなさい」と呼ぶ者あり)  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 補助金問題でおしかりをいただきましたが、これはそのことをそういうふうにとらえることを非常に心配するわけでありまして、マスコミの表現を引用いたしましたが、そういう宣伝が効果を持たないような農業そのものの位置づけを明確にする指標あるいは地域経済への影響、そういうものをぜひつくっていただきたい、こういう気持ちでありますので、まず申し上げておきたいと思います。 答弁の中で、農業環境活性化事業の決意が述べられました。昨年六十二年度の熊本県の農業粗生産額の推定値が発表されたわけでありますが、六十一年度三千八百八十六億円、六十二年度三千五百九十七億円であり、約二百九十億円もの減少を来しているのが今日の数値としての実情であります。私は、熊本県の産業連関表、通産省の産業連関表を用いて、この農業粗生産額二百九十億円の県内影響試算を行ってみました。県経済への影響五百二十二億円、就業労働者の減少一万四千五百人の単純試算値が出ました。また、雇用をそのままにした場合、農業者一人当たり十六万円の収入減、全産業では四万一千円の減少となるわけであります。二百九十億円減少したと簡単に言いますけれども、県経済にこれほど大きな影響を及ぼす数値であるということに我ながらびっくりいたしました。県民が農業を見直し、県庁内部でもややもすると起こりがちな農業過保護論の見直しができるような、先ほど御答弁のとおりの活性化事業の成果を期待したいと思っています。 また、今回答弁をお聞かせいただきましたが、自由化問題、農協問題など部内にプロジェクトをつくり対応するという答弁を聞きながら、具体的な展開に対する並み並みならぬ決意を感じることができました。部内一体、県庁一体の対応によってこの難局を乗り切っていただきますよう強く期待を申し上げ、農業の諸問題に対する質問を終わらせていただきます。 続きまして、地域における中核的病院の整備について質問いたします。 「阿蘇、球磨、天草に中核病院」これは去る五月二十一日のある新聞の見出しであります。県においては今般保健医療計画が策定され、医療供給体制の整備などを内容とする今後十年間の総合的な基本計画が示されました。それによりますと、各地域にかなり高度の疾病に対応できる中核的病院を整備することとされています。熊本市から遠く離れたこれらの地域、きのうも九十分構想で話題になりましたが、特に天草地域における医療の現状を見てみますと、心臓手術など難しい医療には島内では対応できず、熊本市へ搬送している状態であります。熊本市の病院に入院するとなりますと、その家庭はほとんど一家を挙げて対応しなければなりません。交通費、宿泊費といったもろもろの負担を余儀なくされているわけであります。熊本市内の病院に移送するとしても、現在の道路事情あるいは交通事情では、本渡市を起点に、どんなに速くても救急車で一時間三十分を要しており、一刻を争う救急医療の場合、不幸な結果を迎えることもあるように聞いております。 このように、医学が高度に進歩した現代においても、医療資源の地域偏在は、地方の住民に多くの経済的負担と精神的苦痛をもたらしております。したがいまして、県土の均衡ある発展を図るためにも、遠く熊本市まで出かけて医療を受けなくても済むよう、このような地域の中核的病院の整備を痛感するわけであります。そこで、まず計画における中核的病院の位置づけと推進策をお尋ねしたいと思います。 次に、天草地域医療センターについてお尋ねいたします。 現在、天草においては、郡市医師会を中心に地域医療センターの整備計画の話が進んでいるようでありますが、このセンターは、まさに県が意図している中核病院であり、天草にぜひ必要な病院であると考えております。そこで、この計画に対する県の対応方法をお伺いしたいと思います。衛生部長の御答弁をお願いします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) まず第一点の保健医療計画の中におきます中核的病院の位置づけなどについてでございますが、このたび計画策定に当たりましては、県民のだれもが、どこでも、また、必要なときはいつでも適正な医療を受けることができることということを目標といたしまして、医療供給体制の整備を図っていくことといたしております。 その具体的対策の一つとして、各保健医療圏における中核的病院の整備を挙げておりますが、その内容といたしましては、がんなどの悪性新生物、脳血管疾患及び心疾患並びに救急医療につきましても、特殊なものを除いてその医療圏域内で診断、治療を完結させる機能を持つ、それとともに、その地域のそのほかの医療機関を後方で支援する、そういった地域の医療センター的な機能を有する病院を考えております。 今後の推進に当たりましては、例えば既存の総合病院や公的病院に、より高度な医療機能を付加する方法で整備していく方法のほかに、そのような基盤となる既存の病院がない地域におきましては新設というケースもあり得るものと考えております。具体的な整備方策等につきましては、今後設置を予定しております地域住民、市町村、医療関係者等で構成します地域保健医療推進協議会等におきまして検討していただくことといたしておりますが、お説のとおり、天草、球磨及び阿蘇圏域は、地理的条件、医療資源の現況等から見まして、特にほかの地域に優先して整備を図っていく必要があるものと考えております。 第二点の天草地域医療センターにつきましては、郡市医師会の設立趣意書によりますと、天草保健医療圏における既存の公的医療機関と連携を図り、地域医療のシステム化を促進し、高度医療、救急医療、僻地医療などに対応するための拠点として設立されることになっておりまして、まさに中核的病院であろうと存じます。しかしながら、現在のところまだ構想の段階であり、さきに述べた地域保健医療推進協議会等で十分協議されて、建設及び運営に関する地域のコンセンサスを得る必要があろうかと考えております。 このようなことを通じて、地元の総意に基づく推進態勢が整いますならば、県といたしましても必要な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 今御答弁をお聞きいたしまして、明るい見通しを感じているわけであります。実は、私も出身地が天草でありまして、実家は極めて交通の便が悪いところであります。住民のこの問題に対する願いが強いこともよく承知いたしておりまして、若干の問題点もあるようでありますが、部としての御指導をいただきながら積極的に推進していただきますようにお願いをしておきたいと思います。 続きまして、県内の産業廃棄物処理場の現状把握と調査実態についてお尋ねをいたします。 先般、ソ連におけるチェルノブイリ原発の事故は、全世界を震憾させ、改めて科学の時代進歩への貢献と人類死滅への表裏一体性を思い知らされました。科学的につくり出された物質が、科学的に処理することのできないバランスを欠いた人類生存への危険な現代社会の一面であります。しかし、その事実とは無関係に日に日に科学は新しい物質をつくり出しています。水俣病の原因である水銀、イタイイタイ病のカドミウム、森永ミルク中毒の砒素などもその一種であり、今また新たな物質としてトリクロロ、テトラクロロエチレンなどの洗浄溶媒が水質汚染の重要問題として注目されるに至りました。産業廃棄物の安全処理は、現代に生きる者のつくり出したみずからの責任として最も重大な課題でなければならないと思います。アメリカのIC産業のメッカでもありましたシリコンバレーの大災害の発生は私たちにそのことを示唆していると思うわけであります。 産廃の処理については、使用する事業所にすべての責任があり、処理能力を持たないところは、みずからの責任で処理業者に委託することになっています。年々産業廃棄物は増大し、有害物質の使用量も増大していますが、その危険な状態が拡大しているにもかかわらず、意外に産業廃棄物の処理が、今日まで一部の関係者あるいは運動家のみにしか注目されていないこともまた危険な現象であります。 現在の産業廃棄物処理については、企業内部の処理と業者処理の二つの形態での処理が行われておりますが、その処理業者は県知事の認可を受け、したがって県知事は、それらへの指導責任を有することになるわけであります。さらに、その処理方法については、紙くず、木くずなどを処理する管理型処理場、プラスチック類やガラス、陶磁器、建築廃材などを処理する安定型処理場、有害物質を処理する遮断型処理場に分類して処理するようになっているのであります。 ところで、現在、それぞれの処理方法の県知事認可の産業廃棄物処理業者は、この熊本県内に何社あるのか、お答えいただきたいと思います。 今日数カ所の自治体で、ようやく産業廃棄物の危険性を察知した処理場周辺の住民から不安の声が上がっています。建設当時情報として知り得た認識と、今日段階での認識には極めて大きなギャップがあり、処理場の処理内容について大きな疑問を持つに至ったからであります。認可当事者の県は、これらの疑問に明確に答え、周辺住民の不安を解消しなければなりません。情報の公開が求められているわけであります。県内数カ所で、町議会でも取り上げられたり、住民運動として内容の公開を求める動きが起きていますが、安全であれば公表しても何ら差し支えないことであります。これらの地域にどう対応されているのか、お尋ねいたします。 また、立入検査ができるようになっているわけでありますが、何カ所の立入検査を行い、問題があったとすればどのような対応をされたのか、お尋ねをいたします。衛生部長の御答弁をお願いいたします。  〔衛生部長星子亘君登壇〕 ◎衛生部長(星子亘君) 御指摘のとおり、産業廃棄物の適正な処理は重要な課題でございます。産業廃棄物の処理につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められているとおり、産業廃棄物を排出する事業者は、みずからの責任において廃棄物を適正に処理する責任があります。 処理方法につきましては、先生がお述べのとおり、管理型埋め立て、安定型埋め立て、遮断型埋め立ての三種類がございます。県としましては、廃棄物の量が多いか、または有害物質を含む可能性のある事業者に対しましては、適正処理を確認するため、毎年報告を求めますとともに、立入検査を実施し、さらに必要に応じて行政検査も行っているところでございます。 ところで、お尋ねの産業廃棄物処理業者の数でございますが、収集、運搬、中間処理業及び最終処分業合わせて三百四十八業者であります。このうち最終処分業は三十七業者でございますが、稼働中のものが二十八業者。これを業種別で分けますと、安定型が十三、管理型二、安定型と管理型の両者を持つものが二、さらに安定型、管理型、遮断型をあわせ持つものが一、海洋投入十業者となっております。 次に、お尋ねの地域住民に対する配慮についてでございますが、中間処理業及び最終処分業の許可に当たりましては、地元住民との公害防止協定書の締結及び同意の取得を許可の要件としており、協定書では、業者の自主検査の実施、住民による抜き打ち検査、住民の自由な立ち入りの明記等を盛り込み、住民の理解を得るよう指導しております。 最後に、立入検査及び対応についてお尋ねがございましたが、昭和六十二年度においては、最終処分場の二十一施設のすべてについて立入検査を実施しておりまして、水質検査の実施指導を初め維持管理に係る改善指導は七件となっております。なお、そのほかに、中間処理業で埋め立て類似行為ということでもって基準違反になったために営業停止処分になったものが一件でございます。 以上でございます。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 今熊本県では地下水汚染の問題に重大な関心が高まっておるわけであります。質問の中でもくどいように申し上げておりますが、この産業廃棄物処理問題の取り扱いを一歩間違いますと、後世に取り返しのつかない事態に発展することを、この種行政に取り組むときまず肝に銘じていただきたいと思うわけであります。 お答えをいただきましたが、当面やってほしいことは、住民の不安の声にこたえてほしいということであります。地元住民との公害防止協定に、そのことによる住民の抜き打ち検査、自由な立ち入りの明記が行われている旨の答弁でありましたが、求められているところには条件をつけず実施されるようお願いしておきたいと思います。また、六十二年度において最終処分場の二十一施設のすべてに立入検査を実施されておられるようでありますが、その検査結果の公表についても、地元住民の不安をぬぐい去るために最も大きな効果を持つものでありますから、この際、公開していただきたいのであります。お願いしておきたいと思います。 今後の社会は、私たちの想像を絶するような各種の化学物質が生まれるでありましょう。したがって、産業廃棄物処理は極めて重大な役割を担うことになるわけであります。申し上げましたように、科学の進歩は人類生存にとってもろ刃の剣であるということを忘れることなく、行政対応をしていただきますように期待を申し上げまして、この質問を終わらせていただきます。 続きまして、小中学校の部活動のあり方について御質問いたします。 私は、学校教育における小中学校の部活動について、教育委員会としてどのように位置づけられ、各現場に対してどのように指導されているのか、お尋ねをいたします。 先般、六月五日、城南町隈庄小学校のソフトボール部の児童二人が対外試合に参加中、交通事故に遭遇し、五年生のあどけない一人のとうとい命が失われました。一人が今なお意識不明の重体であります。何とも言いようのない痛ましい事故であり、葬儀に参列した小学校関係者の方々を初めとする多くの参列者の涙を誘いました。心から御冥福を祈るものであります。 現在、部活動のあり方については、各方面から多様な意見を持ちながら関心が高まっております。現場段階でも多様な取り組みが行われている中で、一定の整理をすべき時期ではないかと考え、質問することを決意いたしました。 私は、この質問を行うに当たり、県下各方面の知人に、それぞれの学校における実態を聞きましたが、いずれの学校でも問題が多く、関係者が悩んでいることを知り、驚いたのであります。ある学校では、小学校のうちからスポーツエリートを求め、上手な生徒ほど先生から大事にされるという傾向にありました。月火水木金土日、平常日の練習は八時まで、土日には五時間もの練習を行っている小学校がありました。体罰が公然と行われ、勝利至上主義の学校もあります。世の批判が起きると突然に外部コーチを解任したり、あるいは外部コーチに任せきりで、年に一回すらも学校の教育方針とクラブ活動のあり方についての話し合いすら持たれていない学校も見受けられました。もちろん、立派なところも数多くあり、日夜奮闘されている方々には敬意を表さなければなりませんが、ただ、これらの事実を散見する中で、主人公であるはずの子供たちの教育権や人権はどうなっているのだろうか。部活動を通して、真に児童生徒と先生のスキンシップが高まっているのだろうか。青少年の健全な発育、発達や、子供たちの友情がその中ではぐくまれているのだろうか。何よりも部活動が教育の一環としてとらえられているのだろうか。多くの疑問がわいたのであります。 教育委員会は、五十三年に部活動通達を出されていますが、その内容の実行についてどのように把握されているのか。部活動問題がこれほど社会問題化している中で、通達内容の徹底を図るべきではないかと考えていますが、いかがでありましょうか。教育長の御答弁をお願いいたします。  〔教育長田嶋喜一君登壇〕 ◎教育長(田嶋喜一君) 学校教育といたしましての小中学校の部活動は、教育課程以外の教育活動として学習指導要領に位置づけられているところでございます。 本県におきましては、小学校では四年生ごろから部活動を始めるのが通例でございまして、その指導者は、当該学校の職員が全体で約七八%、他はPTAなど関係者の協力を得ているというのが実情でございます。職員以外の協力を得ておりますのは、部活動が盛んになるにつれまして、参加する児童生徒も増加し、学校内の指導者のみでは限界がある。あわせて、児童生徒の競技力の向上に伴い、高い指導力が要求されるようになったことなどの理由によるのではないかというふうに見ておるわけでございます。 ところで、学校教育としての部活動の目的は、競技力の向上を図ることも必要でございますが、それよりもスポーツに興味を抱く児童生徒が、学年を離れグループとしての協調心や忍耐力を養い、友情や精神力のとうとさを学ぶ点にあり、児童生徒の健全育成を図る上で重要な教育活動であるというふうに考えております。 しかしながら、団体等が主催いたします競技大会におきまして、一部教育活動を離れ、ややもすると競技至上主義に走り、対外競技に重点を置くものもあるために、練習が過度になるなど若干の行き過ぎも見受けられるわけでございますので、特に学校教育活動としての対外運動競技につきましては、小中学校それぞれ回数や範囲を定め、制限いたしまして正常化に取り組んでいるところでございます。 さらに、指導者の資質の向上を図りますために、一つには、昨年から新たに部活動指導者研修会を開催いたしまして、学校の教師並びに学校外の指導者を対象に部活動の理解を深める研修を行っております。また、県PTA研修会の協議の中で、部活動に対する検討を深めてもらいますとともに、小学校体育連盟及びその関連組織の整備充実を図るなど、今後とも児童生徒の身体の発達段階に応じた部活動が行われますよう指導の徹底を図ってまいります。 あわせまして、スポーツ事故に対する対応や責任の所在の問題も重要でございます。常に学校当局、PTA関係者、競技団体及び地域との連携を図り、通達の趣旨の徹底が図られますよう努力してまいります。 ○議長(米原賢士君) 鬼海洋一君。――時間がありませんので、速やかに終結をお願いいたします。  〔鬼海洋一君登壇〕 ◆(鬼海洋一君) 今表明がありましたことを強く御指導いただきますようにお願いしておきたいと思います。 続いて、五・三、四災害について御要望をいたしたいと思います。 まず第一は、被災農家の救済についてであります。 五・三、四大雨被害については、死者六名、重軽傷者二十五名を数え、被害総額五百億円余にも上る大災害になりました。大雨のさなか災害救助や復旧に当たられ、今なおその復旧に当たられている多くの方々に心から敬意を表します。この件につきましては、きのう我が党の中島議員や自民党の髙田議員からそれぞれの角度から質問が行われました。したがって、私は農業災害被災農家の借入金返済一時棚上げについて要望いたします。 きのうの知事答弁では、被災農家対策について、融資対策を中心とした支援措置が表明されました。農家にとってはありがたいことであります。しかし、私は今回、災害見舞いに回りながら行政支援の方法について要望をお聞きしてまいりましたが、固定化負債の増大によって融資そのものを受ける力さえなくなっている農家も少なくありません。もとより農家そのものも融資を受ける段階では確かな計画であったろうと思われますが、生産物価格の急激な暴落、今回のような思わぬ災害に遭遇したときに借入金返済に無理が生じ、固定化現象に陥るケースが極めて多いと言われています。私は今回の災害についてもこのことを最も心配するものであります。 自作農維持資金を初めとした低利融資措置が講じられることになりましたが、私としては、あわせて今日までの借入金返済の一時凍結、償還延期が必要であろうと考えております。ショックを受けつつも必死で立ち直りを目指して頑張っている各農家に格段の支援が行われるよう心から要望いたします。 次に、砥用町の局地激甚災害の指定について要望いたします。 昨日の知事答弁では、五・三、四災害の復旧に当たり、地元負担を軽減するためには、何としても局地激甚災害の指定をとるように最大限の努力を払う旨の答弁がなされました。 私は、今回の豪雨に当たり、まだ大雨の降りしきる五月四日、後ろに座っておられます米原議長のお供をして砥用町筒川水系の災害視察を行いました。橋脚の流失、どこに道路があったのか判別さえつかない県道の切断、流失、農地の壊廃、集落の孤立など、お互いに想像を絶する光景に茫然としたものでありました。有史以来の大災害を受けた砥用町では、現在県の支援を受けながら精力的に復旧に取り組んでおられますが、知事答弁のとおり、局地激甚災害指定が年度末査定後となるため、しかも砥用町災害の状況が余り外に知られていないこともあり、指定に対する若干の不安もあるところであります。 町執行部、議会ともに、県及び県議会に対し、災害復旧に対しての陳情も行われているところですが、現地事情の格段の御理解と災害復旧への指導、支援をお願いいたします。特に局地激甚災害の指定を得られるよう御努力いただきますように要望をいたします。 ○議長(米原賢士君) 残り時間が少なくなりましたので、終結をお願いいたします。 ◆(鬼海洋一君) (続) 最後に、産業連関表の充実について要望いたします。 九州新幹線の建設促進については、知事の所信表明も行われましたように、議会、執行部ともに足並みを合わせ、急テンポで建設促進の動きが始まりました。地元負担の賛否の中で、一時停滞したこの動きを急速に促進に向かわせたのは、いろいろな要素の中でも建設による県経済への波及効果の試算が大きな要素でありました。この試算そのものは東京の専門機関に委託されたものでした。 ○議長(米原賢士君) 所定の時間を超えていますので、終結をお願いいたします。 ◆(鬼海洋一君) (続) 産業連関表をさらに充実され、県内で利用ができるように努力していただきますように、この際お願いしておきたいと思います。 これをもちまして本日の質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手) ○議長(米原賢士君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明十六日は午前十時から会議を開きます。日程は、議席に配付の議事日程第四号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後二時三十三分散会...